テレビ番組を制作している会社と名乗る人から電話がかかってきた。NHKの「ファミリーヒストリー」という番組で、なにやらその日のゲストに芝バプテスト教会が関係していると言うのだ。「四谷新生教会は芝バプテスト教会を受け継いでいらっしゃると聞いたので」とのこと。
調べたいのは山本熊次郎牧師が芝バプテスト教会を辞任され、やがて静岡に移り住んだのだが、山本家の関係者を教会で把握していないかということだった。慌ただしい電話口で「四谷新生教会の歩み」を引っ張り出して「四谷新生教会年表」や「第1章 前史」から田村町教会の記述を急いで辿ってみたが、熊次郎牧師についてはかなり記述があるものの辞任後のことまではさすがに触れられておらず、年表も1910(明治43)年から1935(昭和10)年までの25年という長きに亘る熊次郎牧師時代については、1911年の田村町移転と1923年の日本バプテスト教団成立(1月3日)及び関東大震災(9月1日)以外に何も記されていなかった。信徒名簿も1951年以後分しかない。制作会社としても、戦災により資料が焼失・散逸していることは織り込み済みだったようで、すんなり諦めた様子で電話は切れた。
電話を切ったあと気になったので改めて「四谷新生教会の歩み」の当該箇所を読み直した。築地に誕生したベタニヤ教会は芝にも講義所を置き横浜浸礼教会執事の小林健次を招き担任とした。のちにここが「芝浸礼教会」となった。一時大阪に転任していた小林牧師が戻り1900年に芝から田村町に移ったとある(年表とズレているが)。そして1910年、後を受けた山本熊次郎牧師着任、前述の通り25年間働いた。その後を受けたのが友井楨牧師。歴史がいきなり今につながったような感じ。
してみると教会というのは特定の誰かのヒズストリーではなく、一人ひとりのストーリーの繋がりなのだとわかる。全てが記憶され、全てが記録されるわけではないとしても。
2025
05Oct
四谷快談 No.236 ファミリーヒストリー
